「透析室の看護師ってどんな仕事をするの?」
私は透析室での勤務経験があり、国内の透析学会での発表経験・さらにはアメリカ・アリゾナ州で開催された国際学会への参加経験もあります。透析看護は奥が深く、慢性期ならではの難しさとやりがいが詰まった仕事です。
この記事では、透析室の業務内容から患者さんとの向き合い方・転職時の注意点までリアルにお伝えします。
透析室の1日の業務の流れ
透析室の業務は、流れが決まっているように見えて、実は患者ごとの細かい対応の連続です。
透析開始前
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 体重測定 | 前回透析後からの体重増加量を確認 |
| 除水量の計算 | 目標体重(ドライウェイト)に向けた除水量を設定 |
| プライミング(前日準備) | 回路に生理食塩水を満たし、空気を抜く作業 |
| ベッドメイキング | 清潔・安全な環境を整える |
透析中
- 穿刺(シャントへの針刺し):透析看護の中でも最も技術が求められる場面
- バイタルサイン測定:血圧低下・不均衡症候群などの異常を早期発見
- 医師の回診介助
- 病棟患者の申し送り
透析終了後
- 返血・抜針・止血
- 終了後の体重測定(除水目標に達したか確認)
- 記録・次回の準備
食事・生活指導も重要な仕事
透析患者さんは定期的に血液検査を受けます。検査結果には食生活が如実に反映されるため、看護師が結果をもとに食事指導・生活指導を行います。
例えばカリウム・リン・塩分の摂りすぎは透析間の体重増加や検査値悪化につながります。「検査結果が改善してきましたね」「この食品は少し控えてみましょう」といった声かけを積み重ねることが、患者さんの生活の質を守ることに直結します。
慢性期患者との関わりの難しさ
透析は週3回・1回4〜5時間を何年も続ける治療です。患者さんは多かれ少なかれ、食事制限・仕事・家族・将来への不安といったストレスを抱えています。
長期にわたって関わるからこそ、信頼関係が築けた時の喜びは大きい反面、慢性的なストレスが関係性に影響することもあります。
大切にしていたのは「患者さんの立場で物事を考える」こと。食事制限を守れない患者さんに対して「なぜ守れないのか」と責めるのではなく、その背景にある事情・気持ちを理解しようとする姿勢が、信頼関係の土台になります。
国内学会での発表・アリゾナでの国際学会経験
透析室勤務中に、担当医師と共同で**透析患者のリビングウィル(終末期における本人の意思表示)**についての研究を行いました。
人工透析を長年続ける患者さんが、透析中止・終末期についてどのような意思を持っているかをテーマにした研究です。慢性期医療に携わるからこそ向き合える、命の重さに関わるテーマでした。
その研究成果を国内の透析学会で発表し、さらにアメリカ・アリゾナ州で開催された国際学会にも参加しました。
英語でのプレゼンテーションや、世界各国の透析医療従事者との交流は、看護師としての視野を大きく広げる貴重な経験でした。
「透析は奥深い」と改めて実感したのは、この学会経験を通じてでした。技術だけでなく、患者の価値観・人生観に向き合う医療であることを、国際的な場でも確認できました。
透析看護のやりがい
- 穿刺・止血などの技術が磨かれる
- 患者さんと長期的な関係を築ける
- 検査値の改善・生活の改善という具体的な成果が見える
- 医師・臨床工学技士・栄養士など多職種と連携できる
- 学術的な探求(研究・学会発表)にも発展できる
透析看護の難しさ
- 慢性期ゆえの患者ストレスへの対応
- 穿刺技術の習得に時間がかかる
- 同じ患者さんと長く関わるからこそ生まれる摩擦
- 透析中の急変(血圧低下・不均衡症候群)への対応
転職時に必ず確認すること
透析クリニックは全国に多数ありますが、給与・待遇はクリニックによって大きく異なります。
同じ「透析クリニック」でも、月給・夜勤の有無・残業・人員体制は施設ごとに差があります。
転職前のチェックリスト
- 月給・時給・夜勤手当の詳細
- 患者数に対する看護師・臨床工学技士の比率
- 穿刺担当の範囲(新人でも穿刺するか)
- 研修・教育体制の有無
- 残業の実態
より良い条件の職場を自分で選ぶことが大切です。透析クリニックは需要が高く、看護師の転職先として人気が高まっています。転職エージェントを活用して複数の求人を比較することをおすすめします。
まとめ
透析看護は、技術・知識・患者との人間関係が複雑に絡み合う、奥深い分野です。
- 業務はルーティンに見えて、患者ごとの細かい対応の連続
- 慢性期患者に寄り添うには「患者の立場で考える」姿勢が不可欠
- 研究・学会発表など学術的な側面にも発展できる
- 転職の際は給与・体制をしっかり比較して選ぶ
透析クリニックへの転職を考えている方は、まず転職エージェントに相談して求人情報を集めることから始めてみてください。